俺のその言葉を聞くと、
凛空はいつもの柔らかい笑みを浮かべた。
「やっと、いつもの悠希になった。それをそのまま、すみれさんに伝えてあげなよ」
凛空の笑顔があまりにも優しいすぎて、
どんな時もそばで支えてくれた凛空が、
こんなにも大きな存在だったなんて、
全然知らなくて。
気がついたら、
広げた書類に涙がシミを作っていた。
なんでかは分からないけど、
ポツリポツリと涙が広がっていく。
「ふふ。悠希を泣かしたのなんて何年ぶりだろ。昔は、俺がいつも泣いてたのにね」
そう言われて、
昔のことを思い出す。
小さい頃の凛空は、気が小さくて、
女の子みたいに弱々しくて可愛かった。
でも、いつからか、
俺は凛空がそばにいないと何も出来なくなってて、凛空がいるのが当たり前になってて、
中学でも、一緒に生徒会をこなして、
阿吽の呼吸なんて呼ばれてて…。


