コンコン


部屋のドアがノックされた。



誰だろう…?

首を傾げながらドアを開くと、そこには琉生君がいた。


「なぁ。話し、いい?」


「えっ?……うん…」


琉生君とは、ピアノのコンクール以来あまりこうして2人で話すことがあまりなかったから、緊張してしまった。


部屋に招き入れると、
机に向き合って座った。


「あのさ……千尋のこと…」


「えっ…?」


琉生君の第一声に口からそんな言葉が漏れた。


…どういうこと……?


「あぁ、ごめん…。千尋から、聞いた。告ったって」


…そうだったんだ…。

みんなの空気が重かったのも、
そのせいだったの…?


「すみれ、すげぇ困ってるみたいだったから…」


視線を琉生君に上げると、
真っ直ぐな瞳で見つめられていた。