そう問うと、
腕が緩められて、

高城君の整った顔が私を見下げる。



鼓動がどんどん速くなっていくのが分かる。

背後では、雨が勢いを増していた。



高城君の瞳から目を逸らすことができなくて、
しばらくのあいだ見つめていた。



すると、
ゆっくり、
ゆっくり、

顔が近づく。


息を呑む暇もなく、

高城君の温かい唇が、
私の唇に触れた。


うそ…私……。


キスしている。

そう気づいたのは、
温もりが遠ざかってからだった。


顔を上げると、高城君はただ私を見つめていた。





それから、
どうやってすみれ荘に帰ったのか、
私は全然覚えていない。


気づいたら、朝を迎えていた。