そんなことを考えながら、
拭いていると、


ゴロゴロー!!!!


と大きな音を立てて雷が鳴った。
多分、近くに落ちたのかもしれない。


「ひぃ!?」


突然の事に、私は驚いて背伸びをしていた足を滑らせてしまった。


「先輩っ…!」


転びそうになった衝撃に備えて目をつぶっていたけれど、

さっきの甘い香りに包まれて、衝撃は柔らかいものだった。


恐る恐る目を開けると、

私を抱きしめるように受け止めてくれた高城君の肩が見える。


「ごっ、ごめっ ────── 」


高城君の胸を軽く押して立ち上がろうとするけど、
思いのほか高城君の力が強くて、体勢をたて直せない。


「たっ、高城君っ…」


もう少し強く押してみるけれど、
やっぱり離れられない。


そればかりか、
腰と背中に回された腕にどんどん力が入っていっている気がする。


「あっ…あの…高城く ───── 」



「先輩…俺じゃ…ダメですか…?」


その言葉に、目を見開いた。

一瞬聞き間違えかと思ったけれど、
たしかに、聞こえた。


「ど、どういうこと…?」