ルームシェア~7人の王子様~

その時、ポツリポツリと雨が降ってきた。


「夕立…?」


「そうみたいですね。一旦どこか行きましょう」


高城君はギュッと私の手を握ると、
少し先を歩き始めた。


私も小走りで高城君の後を追う。


しばらく歩くと、目の前にお堂が見えてきた。


「あそこで雨宿りしましょうか」


「そうだね〜」



お堂の屋根に入る頃には、
かなり浴衣が濡れてしまっていた。


「今日、雨降らないって言ってたのにな…」


私はそうぼやきながらバックからハンカチを取り出して、高城君の髪を拭こうと向き直る。


すると、高城君は緊張したような顔で私を見つめていた。


「どうしたの?」


私が声をかけると、
高城君はハッとして目を逸らした。


「なっ、なんでもないです…」


「?」


明らかに様子がおかしかったけれど、
私は少し背伸びをして高城君の髪を拭いた。


明日も部活って言ってたから、
風邪ひいたら大変だ…。


高城君は、借りてきた猫のように大人しく私に拭かれていた。


綺麗な茶髪から水が滴っていて、
妙に艶っぽく見える。