「いらっしゃーい!そこのカップルさーん!」
屋台の前を通ったとき、
屋台で売り子をしている男性に声をかけられた。
へ…?カップル…?
そういえば、一ノ瀬先輩と華蓮ちゃんと遊園地に行った時も、こんなことがあった。
「行ってみましょうよ」
「あっ、うん」
高城君に手を引かれて、
私たちは屋台に近づいた。
「いらっしゃい!どうだいお嬢さん!」
その屋台に広がるのは、
お祭りの雰囲気とはちょっと違う、
女の子向けの雑貨屋さんだった。
とても可愛い商品があって、
目移りしてしまう。
「あ、これ可愛い」
私は小さなハート型のジュエリーがついていたネックレスを持ち上げる。
両親が亡くなってから、
オシャレも全くしてないな〜…。
私はそのネックレスを買うことにした。
「あのっ…」
「すみません、これください」
私が言い終わるより先に、
高城君が売り子さんにお金を出した。
「毎度ありー!」
「たっ、高城君?」
高城君はお釣りを受け取ると、
彼の最大の武器である笑顔を私に向けた。
「今日ぐらい、カッコつけさせて下さいよ」
高城君の大きな綺麗な瞳に引き込まれてしまいそうになる。
笑顔が素敵な人って、
高城君みたいな人を言うんだろうな。
「…ありがと…!」
ほんのり顔が赤くなるのを感じながら、
私はお礼を言う。


