ルームシェア~7人の王子様~



「いらっしゃーい!そこのカップルさーん!」


屋台の前を通ったとき、
屋台で売り子をしている男性に声をかけられた。


へ…?カップル…?


そういえば、一ノ瀬先輩と華蓮ちゃんと遊園地に行った時も、こんなことがあった。


「行ってみましょうよ」


「あっ、うん」


高城君に手を引かれて、
私たちは屋台に近づいた。



「いらっしゃい!どうだいお嬢さん!」


その屋台に広がるのは、
お祭りの雰囲気とはちょっと違う、
女の子向けの雑貨屋さんだった。


とても可愛い商品があって、
目移りしてしまう。


「あ、これ可愛い」


私は小さなハート型のジュエリーがついていたネックレスを持ち上げる。

両親が亡くなってから、
オシャレも全くしてないな〜…。


私はそのネックレスを買うことにした。


「あのっ…」


「すみません、これください」


私が言い終わるより先に、
高城君が売り子さんにお金を出した。


「毎度ありー!」


「たっ、高城君?」


高城君はお釣りを受け取ると、
彼の最大の武器である笑顔を私に向けた。


「今日ぐらい、カッコつけさせて下さいよ」



高城君の大きな綺麗な瞳に引き込まれてしまいそうになる。

笑顔が素敵な人って、
高城君みたいな人を言うんだろうな。


「…ありがと…!」


ほんのり顔が赤くなるのを感じながら、
私はお礼を言う。