ルームシェア~7人の王子様~



「せ、先輩…いま、なんて……?」


「えっ…?かっこいいなって…」


高城君は暗がりでも分かるくらいに、
顔を紅潮させている。


「も、もう一度、お願いします」


「かっ、かっこいい…?」


ますます赤くなる顔。

かっこいいって…そんなにあれかな…?


「……俺以外の人には言わないでくださいね…?」


男の子を抱きながら、そう言って笑う高城君は、やっぱり普段とは違ってかっこよかった。


「頑張るね」


私はそれだけ言って、大人しく高城君に抱かれている男の子に目を向ける。

男の子は安心しきったように、
眠そうな顔をしていた。


きっと、高城君の胸は安心するんだよね。


普段は部活で長距離に励んでいるし、

やっぱり、ただデリカシーがないだけじゃないのかもしれないな。

少し高城君を見直した。


その時、


「ママ!」


男の子がそう言って胸から顔を上げる。


男の子の視線の先に目を向けると、
こちらに涙目で走ってくる女性がいた。


「健太!」


高城君が健太と呼ばれた男の子を下ろすと、女性に向かって走る。


女性は男の子を抱きしめると、私達に何度もお礼を言う。


「健太もお礼を言いなさい」


「ありがとう、お姉ちゃんお兄ちゃん!」


そう言って手を振りながら去っていく親子は、とても幸せそうだった。