ルームシェア~7人の王子様~


「ママね…いなくなっちゃったの…」


男の子は涙を拭いながらゆっくりと言った。


「やっぱり…。どうします〜?先輩」


高城君は優しい手つきで男の子の頭をなでた。


「本部まで連れて行ってあげよう。もしかしたらお母さんいるかもしれないし」


私は男の子の手を取る。

けれど、男の子は歩きだそうとはしなかった。


「どうしたの?」


男の子を見下げると、小さく言う。


「ボクね…足痛くて…歩けないの…」


男の子の足を見ると、血が滲み、とても痛そうだった。


すると、高城君がすっと男の子を抱っこする。


「こうしたら大丈夫。ほら、行こう?」


「うん!」


元気に頷く男の子。

いつもデリカシーに欠けて、可愛い高城君が、すごくたくましく見えた。

私はクスッと笑う。


「なんですか?先輩」


「ちょっと、かっこいいなって」


私の言葉に、高城君は耳を劈くような声を上げる。