「先輩、屋台見えてきましたよ。どこ行きましょっか」
視線を向ける先には、
たくさんの屋台が連なっていた。
たこ焼き、わたあめ、かき氷、ガラガラくじ……
どれも魅力的だった。
「とりあえず、一周したいな!」
私は高城君の手を引いた。
高城君は一瞬びっくりした顔をしたけど、
またすぐ笑って頷いた。
と、その時、
目の前で小さな男の子が転んでしまった。
泣いてしまって立ち上がれそうにない。
私はすぐに駆け寄った。
手をつないでいるので、
高城君もついてくる。
「大丈夫…?」
手を離すと、脇を抱えて立たせてあげる。
だけど、男の子は全然泣きやまなそうにはなかった。
「大丈夫?お母さんは?」
そう聞いても、男の子は首を振って泣くだけだった。
「迷子ですかね」
高城君が男の子の高さにしゃがむ。
顔が至近距離に近づき、ドキッとしてしまう。


