ルームシェア~7人の王子様~



「高城君〜…」


私は扉越しに高城君に声をかける。


「どうしました?」


「帯、結んでもらってもいいかな?」


私は浴衣の胸元を押さえながら扉を開けた。


「帯ですか?いいですよ…って、うわっ、めっちゃ綺麗ですね」


私の浴衣姿を見た高城君が、
そんな声をあげた。


高城君はデリカシーに欠けるところは多々あるけれど、
女の子の扱いが上手くて、年上の扱いも上手い。


「あ、ありがと…」


私は少し照れながら高城君に帯を渡す。


高城君は、照れなくてもいいんですよ。と言いながら私の後ろに回る。


高城君の手が、私の体を包むように前に回ってくる。

ドキドキしてはいけない場面なのは分かっているけれど、どうしても意識してしまう。


高城君、案外身長高いんだな…。


ドキドキしながらそんなことを思っていると、高城君の顔が横から私を覗いた。


「ドキドキしてますか?」


図星を当てられ、私は顔を逸らした。

やっぱり、デリカシーという概念は高城君の中には存在しないのだろうか。


「可愛いですよ、先輩」


帯を器用に結びながら高城君はまたそんなことを言ってくる。


高城君といると、いつも彼のペースに連れ込まれてしまう。

本当に、すごい女の子の扱いに慣れてるんだな……。