「はぁぁ…」


夏休みも終盤を迎えた今日。


私は1人落ち込んでいた。



一緒にお祭りに行く約束をしていた有紀は急病、愛香は彼氏と行くらしく急遽行けなくなってしまったのだ。


1人で行くのも嫌だし…。


私はリビングのハンガーに掛けられた浴衣に目を向けた。

白を基調とした青の花柄の浴衣。


お母さんの形見だった。

今年は浴衣もお祭りもなしかぁ…。


リビングでうなだれていると、
高城君が部活から帰ってきた。


「ただいまーって、先輩だけですか?」


高城君の声に顔を上げる。


「うん、みんな出かけちゃった。あれ?今日早いね」


「明日大会なので早めに切り上げてきました」