私は見たままの感想をそのまま告げた。
そうすると、鈴屋君は少しだけ口角をあげる。
「褒めても何も出ませんよ」
「本当のことだもん」
また少し、口角をあげる。
最近、鈴屋君はよく笑うようになった。
出会った時よりも、よく笑うようになった。
鈴屋君が練習に戻ると、
隣にいた女の子が騒ぎ出す。
「零士君が…笑った…」
「うそ…めっちゃ可愛い…」
その声は次第に大きくなる。
「零士く〜ん!!」
あの黄色い歓声は、
鈴屋君に宛てたものだったのだ。
うちの寮の男子は、
何かと目立つんだな…。
私は女の子たちに圧倒されて、その場を後にした。


