その時、
グイッと腕を引っ張られて、
たくましい筋肉に私は包まれていた。
「この人、俺の連れなんで」
聞き覚えのある声に顔を上げると、
そこには不機嫌そうな顔をした鈴屋君がいた。
「あぁ?んだよ」
リーダーっぽい男の人が鈴屋君を睨む。
抱き寄せられた際に、
肩に回された鈴屋君の手にギュッと力が入った。
さらに鈴屋君との距離が近づく。
「行きましょう」
鈴屋君は私の肩に軽く手を添えたまま歩き出す。
「待てよ」
今度は男の人が私の手を掴んでくる。
「人の彼女に触らないで貰えますか」
「……っち」
鈴屋君が冷たく言い放った一言に
、男の人たちは諦めたように去っていった。
男の人が見えなくなったのを確認すると、鈴屋君は私から離れた。
「ご、ごめんね、鈴屋君…」
鈴屋君は、私とは目を合わせなかった。
「別に…大丈夫っす。ただ、気をつけた方がいいっすよ。先輩…かっ、可愛い…から…」
顔を真っ赤にして言うので、
私まで紅潮してしまう。
鈴屋君も、恥ずかしいとか、
そういう風に、思うんだ…。
なぜか鈴屋君が近くに感じた。
「ありがと…」
私の言葉に、鈴屋君は頬を染めたまま微笑すると小さく頷いた。


