小、中、そして、転校するまでの高校と、
運が悪いのか良いのかプールがない学校だった。

こんなことになるなら、
水泳を習っておくべきだった…。


私は成績表を机に戻し、立ち上がった。



ため息が漏れる。


2学期にもプールはあるし、なにより、プールの評定は異常なほど高い。


このままでは、来年の受験に響くし、
早いとこなんとかしないと…。


私は自室のドアを開ける。


と、


「うおっ」


ドアの外に足を踏み出したところで、
誰かとぶつかりそうになった。

見ると、鈴屋君がびっくりした顔で私を見ていた。


「あっ、すいません」


「ご、ごめん」


鈴屋君は私に謝ると、
早足で去っていこうとする。

鈴屋君の背中を見つめながら、
思い出して声をかける。


「鈴屋君!鈴屋君って…水泳部だよね?」