雑誌の発売から数日後、
私宛に華恋ちゃんから手紙が届いた。


『すみれちゃんへ。

この前はありがとうございました。

お母さんの手術も大成功して、
すっごく楽しい思い出ができました。

それから、お母さんと一緒に雑誌を見ました。
お兄ちゃんもすみれちゃんも、ラブラブで載ってました!

これからも、お兄ちゃんのことをよろしくお願いします。
また、遊びに行きますね。

華恋』



綺麗な字を書くな〜。

私は呑気に華恋ちゃんからの手紙を眺めた。

いろいろ誤解されてしまっているけど、お母さんの手術も成功したのなら、それはそれでいいのかな。


手紙を机に置くと、
ふと成績表が目に入る。
私は恐る恐る1学期の成績を見た。


5と4に混ざって2が1つ。
2が1つ。
ニガヒトツ。


"保健体育 2"


見れば見るほど悔し恥ずかしくなる。

私はそれほど運動が出来ないわけじゃない。
どちらかというと、運動神経はいい方だ。

それなのに、なんで……。


よ〜く考えるまでもなく、思い当たる節があった。


私は、プールに1度も入っていない。
複雑な事情なんかじゃない。

ただ単に泳げないだけ。

泳げないことが恥ずかしくて、プールに入れないのだ。