「そう言えば、悠希先輩とすみれ先輩、部屋で何してたんですか?」


私は噴き出しそうになるのを我慢する。

2人で部屋に入って行ったら、
そりゃあ気になるよね……。


「知りたい?」


悠希は意味深に笑う。


「ゆっ、悠希!別に私たちは何も!」


私は悠希に反論する。
反論、というか、
私たちは本当に何でもないのに…。


「先輩達、付き合ってるんですか?」


高城君は目を丸くする。


私はいてもたってもいられなくなり、
ついに声を上げる。


「悠希と?ないない!」


私の言葉に、高城君が安堵の息をはく。


「本当ですか?ならよかったです。戻ってきた琉生先輩の顔があまりにも真っ赤だったから、てっきり…」


高城君は少年のように笑うと、
再びお肉を突っついた。


「むっちゃ真っ赤になっとったもんな!顔に似合わずピュアやなぁ」


架神君もニヤニヤする。

ここの寮生は、
人をイジることにアイデンティティでもあるのだろうか。


「はぁ!?なんで俺がそんな…」


南條君はブツブツ言いながら水を一口飲む。


「琉生のことからかってないで、早く食べないとなくなるぞ〜」


雨宮先輩がすかさずフォローをする。


「なに?お前らすみれ狙ってんの?」


悠希がニヤニヤしながらみんなに聞く。


「ね、狙ってるって…やめてよ!」


私の抗議も聞かずに、
悠希がチッチッと人差し指を立てる。


「無理だよ、すみれは。こいつはガードが硬いからね。ましてや君たちみたいな童貞君が落とせる相手じゃない」


そのセリフに、ご飯を食べていた南條君が咳き込んだ。