ルームシェア~7人の王子様~



「あっ、いやっ、なんでもないです!」


あまりにも先輩の態度が明らかだったので、私は話を逸らそうとした。


「いや…。やっぱり、今日来てたのは、佐伯だったのか…」


先輩はふぅと息をついて、
改めてハスミンを抱き上げる。


「き、気づいてたんですか!?」


「あれだけガン見されればな…」


先輩は苦笑いして言う。

その笑顔は、お店で見た時よりも柔らかいもののように感じた。


「すみません……」


私は恥ずかしくなってうつむいた。


「いや、慣れているから…大丈夫だ…。ただ、お前が来るなんて驚いた」


先輩はハスミンを抱いたまま私の向かいのイスに座る。


「友達に無理やり…。先輩が働いてるなんて、思いもしなくて」


「あそこは時給がいいからな…。しょうがなくだ」


それを聞いてもやっぱり、
一ノ瀬先輩が接客業はどうしても信じられない。


「で、でも、うちの学校って、バイト禁止ですよね…?」


「あぁ。秘密だ」


先輩はそう言って薄く笑うと、ハスミンを抱いたままリビングを出ていってしまった。


一ノ瀬先輩がバイトをする理由…。


でもそれは、すぐ後日、
知ることになる。