ルームシェア~7人の王子様~

少しづつ足音が近づいてくる。


本当は一瞬だったのだろうけど、
とても長く感じた。


ガチャ


リビングの扉が開く。


扉の先には、無表情の一ノ瀬先輩が立っていた。


「いたのか…」


そう言うと、そのまま肩掛けのバッグを机においた。

凝視する私と、一ノ瀬先輩の片目が合う。


「……どうした?」


先輩は首を傾げた。


「あっ、きょっ、今日は早いんですね」


動揺が漏れる。


「あぁ。まぁな」


それっきり沈黙が訪れた。


大人しくベッドで寝ていたハスミンが、先輩の帰りに気づいたのか起きてきた。

ハスミンは先輩の足に擦り寄る。


「あっあの……」


意を決した私の言葉に、
先輩が、ん?と顔を上げる。

腕の中にはハスミンが気持ちよさそうに寝ている。

私は大きく息を吸い込み、
一息で言った。


「せっ、先輩、バイトとか…してますか!!」


「!?」


先輩は明らかに動揺した様子で、
ハスミンを抱いていた手をバッと離した。

ハスミンは猫特有の反射神経で態勢を立て直し、上手く着地する。