ルームシェア~7人の王子様~


有紀に幕末喫茶に連れていかれるわ、
まさかあの一ノ瀬先輩を見つけてしまうわ、
散々な1日だった。

まだまだ頭の整理がつきそうにない。


「なんかあったのか?」


悠希が隣に座り頭を撫でてきた。


「疲れた〜」


「お疲れ」


悠希の手が背中と胸のあたりに回ってくる。

優しくギュッと抱きしめられた。

悠希に抱きしめられるのは、何回目だろう。


もう慣れすぎてしまって、
琉生君の時のようなドキドキはない。

悠希はもう兄妹っていうか、
そういう感じだから。


「俺は…すみれが遠くに行っちゃった気がして、すげぇ寂しい」


「えっ?」


ボソりと言われた言葉に聞き返したけれど、答えてもらえなかった。


「よし、俺も明日の準備するか」


温もりが遠ざかったと思ったら、悠希は伸びをして立ち上がった。


「明日、どこか行くの?」


「生徒会」


悠希は笑ってそう言うと、リビングを出ていってしまった。

シーンと静まるリビング。

私は上半身を起こすと、また物思いに耽った。


あの一ノ瀬先輩が……
信じられない。



と、その時、ガチャリと音を立てて玄関の扉が開いた。


一ノ瀬先輩だ。


私は、意を決して、リビングで一ノ瀬先輩が入って来るのを待った。