と、その時。
ガチャリ
突然扉が開いた。
「悠希さん、佐伯、飯できて───」
扉を開けたのは、南條君だった。
「あ…すいません…」
抱き合っていた私たちを見た南條君は、
少しビックリしたあと冷めた顔に戻って扉を閉めた。
「あっちょっ…」
私は南條君を追いかけようと立ち上がった。
絶対変な誤解してる……!!
けれど、
「すみれ」
グッと悠希に腕を引っ張られて、
私は体勢を崩して倒れた。
「いっ………ゆ、悠希…!?」
「待って、すみれ……」
悠希が私を組み敷く形で、
上に乗ってくる。
「はっ…!?ちょっ、まっ…」
私は悠希の胸を思いっきり押す。
でも、全然びくともしない。
「ゆ、ゆう…」
どうしよう…!
私が焦っていると、
悠希はふっと笑って立ち上がった。
悠希の顔が遠のく。
「ごめん、冗談。そんな顔すんなよ」
「えっ…」
私は目を丸くする。
「も、もう、バカぁぁあ!」
私は立ち上がると真っ赤になった顔を両手で覆う。
「だから、ごめんって!すみれが可愛いからつい」
悠希は悪びれた顔もせずウィンクをする。
「どうせ他の女の子にも、そんなこと言ってるくせに」
「言ってないよ。すみれにしか」
「嘘ばっかり!」
私は悠希の胸を叩く。
「ほんとだって。俺が立派な男になったら、絶対お前のこと迎に行くから」
悠希は冗談めかして、
そんなことをサラッと言った。
もう、本当に悠希は……!!


