「いや、ちょうど部屋を出たときに、霧花が家に向かって笑顔で『行ってきます』と言ってたからね。


大丈夫だよ、上から3階はペットOKだから」




そ、そうだったんだぁ…良かった、ここでダメだとか言われたらどうしようかと思った。





「で、なにを飼ってるの?」


「あ、猫です!」



咄嗟に英会話の時間を思いだし、私は嘘をついた。



ごめんなさい先輩…猫と狐にてますから!


嘘をつきたいわけじゃないんですが…



『妖狐買ってます』なんて言ったら変な意味で危ない子だと思われること、分かってます!





「そうだったんだ、名前は?」


「金の鞠、ってかいて、こまりです」


「へぇ、可愛いの?」


「!はい!そりゃあもうとっても可愛いです!

目が金色なんですけどクリクリしてて、毛並みも光ってる感じでツヤツヤしてるし!

ふっさふさで気持ち良いし、いい子だし…って、



すいません!」




つ、つい金鞠を思い出したら…!



しかも事細かに金鞠のこと伝えちゃったしね⁉︎

多分私が言ったことは普通の猫と共通だから、疑われてない…はず。



「いや、大丈夫だよ。

そんな可愛いんなら、今度見せて?」


「は、はい!」



うんうん、金鞠の可愛さは見てもらわないと…



見て?




………




妖狐、を……?





「楽しみだなぁ、金鞠ちゃん」



「あ、ははは…!」



や、やっっばい。




わたくし霧花…やばい約束をしてしまいました。



金鞠の可愛さは、時として罪になるのです。