妖力の塊が、私に向かって来るのが分かった。



あぁ、もう終わりか…



そう思って目を閉じた、その時に。







『っ!なにこれ…

強いの…



怖い…




お兄、さん…やめて!』






お兄……さん?



私は静かに目を開けた。


目の前は…真っ暗。

いや、違う…人の後ろ姿⁉︎




「………狐の子か。

なにに恨みがあるのか知らないけど、


ここで…暴れるな」




なに、この人…






言葉の節々にある鋭いトゲ…いや、子供だよ相手、妖でも!



泣いて暴走でもしちゃったら…それこそ終わりだって!



挑発しすぎだって‼︎




「ちょっと、あんたなに…⁉︎」


「鬼は黙ってろ」


「‼︎」




な、に、こいつ…



この気迫は…妖力⁉︎


それにこの妖力の感じ…前にどこかで…



それにこの声、ついさっきの店員……⁉︎







「借りはいつか返せよ、鬼。


そうだな、まずは…



裏生徒会にでも入ってもらうか」






こいつ、



学校で会った…





「陰陽師…⁉︎」


しかもさっきの店員…全然気付かなかった。


でも…声は一緒だけど、店員さんと顔は違う。


姿変化の術でも使ってたってことか…


それにさっきの店員さんには『証』がなかった…気付くはずもない。




彼の黒髪の左耳際には、

鬼斬り陰陽師の証……赤のメッシュが入っていた。