もしかして相手は…鬼?

いやいやいやー…


青の術が得意な鬼なんて、そうそういないよ?


しかもまだ子供…いくら恨みやらなんやらで強くなってるとはいえ、

こんな高度な術を使えるわけがない!



なら……なんの妖?



子供で、強くて、そして鬼の術まで使える…妖?




「そんなのいないって……」




得体の知れない妖が目の前にいる…


対策なんか練れるわけないじゃないの。



しかも左手が痛いせいで弓を持てないし。




『お姉さん…

苦しそうな顔しても、どうせ後であたしを倒そうとするのでしょう?』



「っ、勘違い、だっ、てぇ…」



息苦しい。


痛みに妖力の重みも加わって…

普段通りの息遣いにならない。





体力的にやばいんだもん…私の妖力も減ってるに決まってる。



弓も扱えない。


素手でなんか、戦える体力も残ってない。




そして、残念ながら鬼は、指先1つで術を操れるタイプの妖じゃないし。

正面から行く突撃タイプなの。





打つ手は、悲しいことに





ゼロ。



てことは、もう…



「………終わり…?」




来たばっかなんですけど、まだ。


来て1年も経ってないし…



やっと人間界の生活にも慣れて、


高校にも入学して、1人で生きていけるべく強い『人間』に一歩成長したのに…




「……私ってやっぱ、

1人じゃ…生きられないのかな……」





なんか悲しくなっちゃうじゃん。


ふっと目が熱くなって…涙がこぼれ落ちそうになる。


泣くな、泣くな。


私は…鬼の血を半分は持つんだもん。



こんなところで泣いてなんか…いられない。




キッ!と暗闇の部屋を睨む。

どこからか…子供の声が聞こえた。



『……お姉さん、バイバイ』