我慢、か。





私はこの2年間…我慢を大してしていない。





人間界に行くことを我慢したぐらいだ。







「…楽しいもん、ここでの生活は。

基本鬼の村は平和だから、仕事も大変じゃないし」






「ま、俺もこの村は…好きだけど」







小さな鬼の子が、今日も産まれた。




白銀の髪を持ち、真紅の目を持ち、立派なツノを2本も持つ元気な鬼の子が。






…私はその全てが欠けてるというのに、




鬼の皆は受け入れてくれた。







「人間も好きだけど、


それと同じぐらい…私は鬼も大好き」






「俺は断トツ鬼だけどね。

霧花の心を盗んで行った人間を、簡単には好きになれないって」






冗談っぽく言って、また笑い合う。




…この2年間、不思議と孤独を感じはしなかった。