「霧花様!」




「霧花様だ!」





…私は、鬼の中でも有数の強者だと、

自分で言うのもあれだけど…そう思う。




妖矢には負けるけど。




私の立場か、私の強さか知らないけど

どちらにせよ皆が少し安堵の表情を浮かべたのは間違いない。




「…皆、ここは私に任せて」



「しかし、霧花様…!」



「敵はどこ!?すぐに、報告を!!」






私の剣幕に恐れたか、女の使いはオドオドしながら報告を始める。




「げ、現在敵は4名!大広間にいます!

妖狐と思われる童を除けば、あとは皆『鬼斬り陰陽師』に所属する者!


長い黒髪の女は、術を駆使する遠隔攻撃。

長身の男は基本サポートですが、自己犠牲系の攻撃もできるようです。

そして…


先頭をきっているのは赤メッシュの男。



『炎鳥舞花』を使いこなす…鬼斬り陰陽師本家の術使いです!」






……分かりきっていること、言わないで。




分かってる、分かってるよ、





「皆のことぐらい…分かってる」




「っ、霧花様!?」




「皆は逃げて!急いで!

危ないから!」






きっと使いの女は、気付いたのだろう。




私のただただ無情に流れる涙と、





私の…殺気に。












大広間の前につくと、勢い良く入っていく。





…そこは、もう戦場。





大広間は本当に広い。人間界のもので例えると、体育館より広いぐらいか。






屋根は攻撃のせいかはずれ、空が見える。





ところどころに血が飛び散っている。




倒れこむ鬼たち…もうその目に、生気はわずかにしか宿ってなどいない。