「霧花様!」



「霧花さまぁ!」





扉のその奥から漏れ出す、人々の喧騒。



その叫びは、まるで…助けて、と言っているようだった。






「…HELP…」





とても苦手だった英語も、やっと形になって来たところだ。


ただ、未だにつまらないスペルミスを犯していた。




HELP…これも前に1度、凛に笑われながら直されたスペルだったか。






「…いいか、霧花」





…いや、もうそんなの気にしなくてもよい。



私は、人間なのではないのだから。





妖矢に向かってうなずくと、側の男が盛大に声をあげた。





「皆の者、よく聞け!よく見よ!

我らが鬼一族、第328代族長の…




霧花様の、御成である!」







ドゴオオオォォン…と地に響き渡る轟音を鳴らしながら開かれる、


3m程もあろう大きな木の扉。





奥に広がるは…




「「「「「霧花様!!」」」」」




数百人の鬼の者達。





「霧花様、お言葉を」





心に広がるは…