「きりかぁー!」


「霧花、お願い!どこにいるのよ!」


「霧花、部屋にもいないし…どこに!」




「返事しろ、霧花!!」





みんな、

私はここに…!




「だぁーめ」



彼の大きな手が、そっと私の耳に触れた。


そして、音が聞こえないように、そっと手で耳を囲う形を作った。




「戻さないよ、霧花。

あいつらの元には」





「…なん、で…」






助けて、助けて。





叫びたくても、声なんか出やしない。





「おい、霧花!」




なぜか無性に会いたいあの人の声が、どんどん遠のいてゆく。





「…りつ、き……」





私は妖矢に抱かれたまま、意識を手放した。