律希…律希…?


急に律希に会いたくてたまらなくなった。




奥の影は、右手を伸ばしてきた。それにそっと、私も右手をのせた。




そして……ぐっ!と引っ張られた。




助け出して、くれるの?この、闇から…




なんか嬉しくなって微笑んだ時…私の目は、ある一点に釘付けになった。




逆光で顔はよく見えないけど…目の前のシルエットは、黒くはっきりと形を持っていた。




私にはない全てを持っている人が、そこにはいた。



綺麗にそびえる、10cmほどの『2本』のツノ。


奥からの光に反射してきらめく、白銀の髪。




そして…




「…やっと、助け出せた」




彼は、笑った。


光は一瞬少し弱まる…それによって逆に目の前の彼の顔がちゃんと見えた。




「会いたかった、霧花…」




真紅のその瞳は、



私を捕らえて、離してなどくれない。






「妖矢…?」





闇の中、遠い遠い後方から声が聞こえた。



私を呼ぶ、4人の声が。





振り向きたいのに、振り向けない。