「いやだ!離して!」



「チッうるさい子供だな……」




まだ幼い霧花。


同じ年の子に比べれば大分術が使える方だが、


見た目の冷ややかさに隠れた力を持つ陰陽師たちがいる前では無力同然だった。





「お願いです!

霧花は…霧花はまだ子供なんです!離してやってください!」





「それもこれも、全て滅希様が決める。

滅希様のいるところに案内するまでは大人しくしてろ。


さもなくば…娘を殺すぞ?」




「そんな…!」





冷静に考えれば、そんなのただの脅しで、実際に殺すわけではなかった。



けれど…いきなり捕まって気が動転してる中脅されたのだ、



それを真に受けて、彼女は大人しくなった。






「…ほう。やっと捕まえられたか」



「はい、滅希様。

長い間待たせ…すいません」



「いいや、大丈夫だ。お前たちも大変だったな。ありがとう」




鬼斬り陰陽師の一族たちは、

怒れば怖いが…仲間に対してはとても良心的だ。


敵に対しても、少しは良心が残っているような感じで接する。




だからこそ、この当主…滅希は人気であり、

絶対的な権力を持っていたのだった。