1人、月を見上げ彼女を思ふ。






表では可憐で完璧なお嬢様。


けれど本当は元気な普通の女の子。




いつも笑顔で隠しているけれど、小さい頃から時々切なそうな顔をしたのは分かっていた。





何度も何度も、救ってあげようって…そう思った。




けど、救えなかった。





親から言い渡された婚姻を、すんなり受け入れたのは…仲良い友達であり、幼なじみだったから。




彼女もすんなり受け入れた。




…純血である自分が、彼女と結婚する。




それは、彼女を救えることだと…そう思っていたのに。






彼女は、15歳を迎えた数ヶ月後に





突然、1人で旅立ってしまった。