「あ!平井せんぱーい!」




私が大きく手を振ると、ちょうど会議が終わって帰ろうとしていたらしい平井先輩が手を振った。



「一緒に帰りましょう!3人で!」


「うん、喜んで…

って、律希、どうした?」



「…別になんでもない」



「なんか酷く考え込んでる様子だけど…」



「…なんでもない。

行くぞ、2人とも」





そう言った律希は、確かになにか考え込む様子でスタスタと歩いて行った。




「…どうしたの、律希。

あ、2人はあの後…大丈夫だった?」




「はい、大丈夫でしたけど…」




「じゃあ、なんであんな感じなんだ?」




「…分かりません」




…律希は、頭が良いから。


分かったのかもしれない。





私が考えていることが。

私が秘密にしていた、敵のことが。




…私が今から起こす、行動が。






「行きましょう、平井先輩」



「そうだね」







律希の後を走って追う。




…律希、待ってよ。




当分話せないかもしれないんだから。