「ちっ、逃げたか…」







律希のそんな悔しそうな声で我に返る。





「霧花、お前ぼーっとしてどうした」





「あっ…いや、なんでもない。


……ねぇ律希、1つ聞いていい?」





私の言葉に律希はあぁ、とうなずく。





私は意を決して、質問を投げかけた。






「さっきの術って、もしかして…」



「そうだよ」




遮るようにして声を発したのは



「大地、お前大丈夫か?」


「うん、ちょっと疲れたけどもうなんともない」



平井先輩だった…





「『炎鳥舞花』…律希が最も得意とする最強の術だよ」




「…盛りすぎだろ」




「いや、真実だろうね。


陰陽師の中でも赤、青、黄の術それぞれに得意不得意がある。



そしてそれぞれ3つの術の頂点がある…」





先輩は1つ目、と言って右手を1の形にした。





「青の術『青龍水破』…大きな水の力を持つ術だね。

その水を駆使し、青龍を作り出し攻撃する…歴史上2人の陰陽師しか操れたものはいないし、

今もいない…伝説モノだよ」




2つ目と言ってピースサインを作る。





「黄の術の『天雷風威』。天から雷を特定の場所に落とせるという…

歴史上3人しか操れた陰陽師はいず、現在は青の術同じく扱える者はいない」






そして…3つ目……………