諦めたようにうなずく律希を無視して平井先輩を見る。



あー、とかなんか呟きながら平井先輩は自分の右頬をぽりぽりとかいていた。




「裏生徒会メンバーだもんね。

その上、霧花は鬼。


…話してもいいかな」




「…大地」





律希の目が平井先輩へ向けて鋭く光った。


そして、平井先輩は小さく笑いながらうなずく。




私だけが…状況を理解できないでいた。






「じゃあ…とりあえず、場所を変えようか」




くるっと平井先輩は体を反転させると、エレベーターに向かった。



黙ってついていく律希に置いていかれそうで、私も急いで追いかけた。





…エレベーターの中で会話は生まれなかった







34階に着いて、やっと平井先輩が言葉を発した。





「今ね、僕の部屋、父さんの仕事の手伝いの資料とかばっかりで溢れかえってたんだった。


リビングはパソコンだらけになってるし…


明日になったら無くなるんだけど…」




忘れてた、と苦笑を浮かべながら続ける平井先輩。


はあー…と大きいため息を吐く律希。





…………はぁ。







「…状況理解が全くできていませんが、

私の部屋…行きます?」