ちょっと急ぎ足で教室から出る…


その刹那、




「!な、に……?」




むわっとした、明らかな『気』を感じた。



これは、妖力…




さっき河童と戦った後だっていうのに⁉︎また⁉︎




今までで1日に2人の妖と対戦したことは…ない!




体力も結構限界値に近いのに…どうすれば?





「……行くしかない、よね」





このまま妖力の強い方に進めば…普段は使われない特別応接室だ。


ここ、夢乃崎学園は時々すっごいお偉いさんが来ることがあるらしい。




ま、お金持ちも相当多いしねこの学園。



そんな方々と話をするためだけの作られた豪華な部屋が、特別応接室。





自然と足取りは重くなっていく…





それは精神的な物なのか、体力的な物なのか。




多分、どっちも。





1つため息吐きながら、私は特別応接室へと足を歩み始めた……




いざ着くと、またそこでもため息を1つ。



……律希に頼るわけにもいかないよね。


律希も疲れてるんだもん。




「………失礼しまーす…」




ガチャッ



……おかしい、やっぱり。

特別応接室は普段、鍵がかかっているはずなのに。



「………誰じゃ?」



透き通るような通った声。

まだ子供の女の子の声だ…



けど、禍々しい気を感じない…まさか、物の怪じゃない…?




恐る恐る目を前に向ける。




「…!猫又⁉︎」




「やはり妖であったか。

人間かと最初思って姿を隠そうと思ったが…


気、からしてお主は妖であったな」




美しい黒の着物に身を包む…見た感じ12、3歳の風貌の猫又がそこにはいた。




もちろん初対面。



猫又を見たことは何度もあるけどさ。



けど…普通の妖が、なんでここに?