「あぁもう、分かりましたわ!

出てけばいいのでしょう?出ていけと言っているのでしょう!?」



「……話し合いで決まったことだ。


お前も今年で16…人間界では働きに出るのも少なくない年頃だそうだ。


無論、戸籍も作ってある…安心しろ」





私が言って欲しいのは…そんなことじゃないのに。


ちゃんと、ちゃんとお爺様から言ってよ。



『お前を追放する』


ってさ…




「……荷物をまとめてきます」



「……あぁ。

達者でな」




目から溢れそうになる涙を、唇を噛んで必死に堪えた。



お爺様の大きな部屋から出ると、目の前には美しい石庭が広がる。




お気に入りの庭だったけど…もう、見れないんだな。





私、追放されちゃったんだもん。





廊下でせっせと忙しそうに早歩きする使用人は、チラチラと私を盗み見ている。




……決して自意識過剰ではないよね。




族長の孫娘が、ついに追放される。




そんな噂が流れるのは、広いお屋敷でもあっという間なのだ。