思春期ベリーライン





「俺、なんもしてねぇんだけど」



気づいてないの?

後藤くんにとっての些細なことがわたしの世界を変えちゃうくらいすごいってこと。



君は、もうわたしの特別だってこと。



「ね、穂香」

「なぁに?」

「後藤って、思ったより怖くないね!
いいやつだね!」



からかうようにそう口にした千菜ちゃん。

あわわと顔を赤くするわたしの額をぺちぺちと叩かれる。



「後藤なら、まぁ許してやってもいいかな!」

「は?」



突然、名前を呼ばれて不思議そうな表情をした後藤くんに後押しされるように。

なんとか声を絞り出し、「千菜ちゃん!」と叫ぶ。

彼女はチョコレートを持ったまま教卓のところへ。



「先生すみません、チョコレート持って来ちゃいましたーっ」



あっけらかんと告げた。

そんなばか正直な千菜ちゃんが結局は大好きで。



今度、おうちに遊びに行く時には、わたしがあのチョコレートを持って行ってあげたいな。

そう考えて、わたしはそっと後藤くんと目を合わせながら微笑んだ。