思春期ベリーライン









「ほーのかっ」



にこにこ笑って声をかけてくれたのは、早々にお弁当を食べ終わった千菜ちゃん。

1班6人で机を合わせている中、1番食べるのが遅いわたしとは違うんだ。



ごくん。

飲みこんで、どうしたの? と首を傾げた。



「前にストロベリーチョコあげるって約束したじゃん」



ああ、そういえば。

わたしが後藤くんと隣の席になった初めの頃。



こわいって落ちこんでいたわたしを慰めるためにそう言ってくれていたことを思い出した。



「それがどうかしたの?」

「じゃじゃーん! 持ってきたよ!」



淡いピンクとブラウンのパッケージ。

小さな箱に入ったそれは、わたしのお気に入りのチョコレート。



だけど、



「え、学校に持って来ちゃったの?」

「ばれなきゃ平気平気っ」



そう言ってへへーっと笑う千菜ちゃんに、言えなくなる。



校則違反だよって。