「…でも驚きました。津久見さんには式蝶が見えるだけでなく、触れる事が出来るんですね。あれは普通、目に見えないものなんですが…さすがです」
「いや、あれは特別強い力を持ってるから、僕でも見えたんじゃないかな。ただ季節はずれの蝶はおかしいと思ったけど」
「そんな得体の知れないものによくついていきましたね」
「悪いものは感じられなかったから…寧ろ、助けを求めてるみたいに見えたんでついて行ったんだよ。そしたら、君が空腹で動けなくなって困っていた現場に遭遇したんだ」
カッコ悪い姿を見られたと、裕一郎はばつの悪そうな顔をする。
「まぁこんな能力でも、たまには人の役に立つ事があるんだなと思うと僕自身、少しは救われた気になるよ」
言って、彼は苦い表情を浮かべた。
「こんな能力…ですか」
「あ…僕にとっては、だから。言い方悪くて気分を害したならごめんね」
「いえ…」
尚人が霊と関わりたくないと思っている事は、話を聞いていれば嫌でも分かる。
(やっぱりパートナーの件、頼みづらいな…)
喉まで出掛かった言葉を、裕一郎は密かに飲み込んだ。
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「いや、あれは特別強い力を持ってるから、僕でも見えたんじゃないかな。ただ季節はずれの蝶はおかしいと思ったけど」
「そんな得体の知れないものによくついていきましたね」
「悪いものは感じられなかったから…寧ろ、助けを求めてるみたいに見えたんでついて行ったんだよ。そしたら、君が空腹で動けなくなって困っていた現場に遭遇したんだ」
カッコ悪い姿を見られたと、裕一郎はばつの悪そうな顔をする。
「まぁこんな能力でも、たまには人の役に立つ事があるんだなと思うと僕自身、少しは救われた気になるよ」
言って、彼は苦い表情を浮かべた。
「こんな能力…ですか」
「あ…僕にとっては、だから。言い方悪くて気分を害したならごめんね」
「いえ…」
尚人が霊と関わりたくないと思っている事は、話を聞いていれば嫌でも分かる。
(やっぱりパートナーの件、頼みづらいな…)
喉まで出掛かった言葉を、裕一郎は密かに飲み込んだ。
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