Darkness † Marker 3  【降る雪は淡く…】

「卒業出来るようには一応計算してますけど、緊急の仕事が入った時はそっち優先かな。ひさ…ボスには『学校行け』ってよく怒られます」

そう言って、思い出したように彼はポケットから名刺を取り出すと尚人に渡す。


「河村霊障相談事務所…」


「前に同類だって言ってた理由はこれです。オレ、学校行きながらここで働いてるんですよ」

「霊障って…裕一郎くんも霊が《はっきり》と見えるの?」

「見えますね。でもオレの場合は津久見さんやボスと違って、ちょっと特殊かな?」

「特殊?」

「うーん、口では上手く説明出来ないんですけど」


言葉を濁すと、裕一郎は難しい表情で唸った。


「あぁ、いいよ…無理には聞かないから」


尚人は小さく笑う。

.