「ただいま」


すっかり日が沈んだ頃、裕一郎が鼻の頭を真っ赤にして帰って来た。


「うー、寒っ!!」


マフラーとコートをソファーに放ると、かじかむ手を石油ストーブの上に翳す。

「おぅ、お疲れさん」

河村は台所からマグカップを両手に持って現れると、1つを裕一郎に渡した。

「ありがと」

受け取ると、冷えた体を温めようと口をつける。


「とうとう雪が降ってきたよ」


裕一郎が窓を指差した。

「本当だ。どうりで今日は冷え込むと思ったよ」

河村もちらつく雪に視線をやって、夕闇に落ちる景色に目を細める。


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