その時。 ピリリリリ…。 どこかで携帯の着信音が鳴り響く。 「ん?」 河村の携帯は胸ポケットにある…と、いう事は。 (さては裕のヤツ、忘れて行ったな) この着信音は仕事のものなので、どちらが出てもいい事になっていた。 『着うた』だと裕一郎のプライベートになるので絶対に出ないが、この場合河村が出ても何ら支障はない。 彼は台所の冷蔵庫の上に置き忘れられている携帯を見つけると、電話に出た。 .