「答えて下さい」
「……見えないよ、何も……だから手を…」
「ちゃんと答えてくれないと、ずっとこのままですよ?」
「本当だよ…」
「嘘。見えてるから、そんな怯えた顔するんでしょ…体、震えてるし」
クスッと言うと、裕一郎は静かに手を離した。
「……………」
解放された尚人は、フラフラと後ずさると壁に凭(もた)れかかる。
青ざめた顔。
そこに浮かぶのは畏怖の念。
「津久見さんは正直な人ですね。怖いって顔に書いてある。霊じゃなくて、オレに関わりたくないって思ったでしょう…違いますか?」
丁寧な言葉の中に混じる揶揄…それは尚人に対してなのか、それとも彼自身に対してなのか。
裕一郎の髪が、ふわりと風に揺れる。
パキン…指輪が1つ音を立てて、砕けた。
.
「……見えないよ、何も……だから手を…」
「ちゃんと答えてくれないと、ずっとこのままですよ?」
「本当だよ…」
「嘘。見えてるから、そんな怯えた顔するんでしょ…体、震えてるし」
クスッと言うと、裕一郎は静かに手を離した。
「……………」
解放された尚人は、フラフラと後ずさると壁に凭(もた)れかかる。
青ざめた顔。
そこに浮かぶのは畏怖の念。
「津久見さんは正直な人ですね。怖いって顔に書いてある。霊じゃなくて、オレに関わりたくないって思ったでしょう…違いますか?」
丁寧な言葉の中に混じる揶揄…それは尚人に対してなのか、それとも彼自身に対してなのか。
裕一郎の髪が、ふわりと風に揺れる。
パキン…指輪が1つ音を立てて、砕けた。
.


