Darkness † Marker 3  【降る雪は淡く…】

「答えて下さい」


「……見えないよ、何も……だから手を…」

「ちゃんと答えてくれないと、ずっとこのままですよ?」

「本当だよ…」

「嘘。見えてるから、そんな怯えた顔するんでしょ…体、震えてるし」

クスッと言うと、裕一郎は静かに手を離した。


「……………」


解放された尚人は、フラフラと後ずさると壁に凭(もた)れかかる。

青ざめた顔。

そこに浮かぶのは畏怖の念。


「津久見さんは正直な人ですね。怖いって顔に書いてある。霊じゃなくて、オレに関わりたくないって思ったでしょう…違いますか?」


丁寧な言葉の中に混じる揶揄…それは尚人に対してなのか、それとも彼自身に対してなのか。


裕一郎の髪が、ふわりと風に揺れる。


パキン…指輪が1つ音を立てて、砕けた。

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