「…あ、あのっ!!」

「?」

裕一郎は慌てて彼の後を追う。

「やっぱり歩いて帰るのキツい?」

「いえ、そうじゃなくて…」

裕一郎はキュッと唇を噛みしめると、強い意志を持った瞳で尚人を見た。


「?」


「あの話、もう1度考えてもらえませんか?」

突然の彼の言葉に、尚人は困ったような視線を足元に落とした。




「…………それは、前に断ったはずだよ」




「津久見さんが霊に関わりたくないのは分かってます……でも、オレにはあなたの力が必要なんです」

裕一郎の声に、周囲の通行人が何事かとチラチラ視線を向けている。

「裕一郎くん、ちょっと…」

尚人は狭い路地に裕一郎を連れていくと、小さくタメ息をついた。

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