午前中に1つ仕事を終えた裕一郎は、街角の花壇に腰を下ろすとタメ息をついた。


(もうすぐクリスマスだな…イルミネーションも夜だともっとキレイなんだろうけど……そんなの空腹の足しにはならないよなぁ…)


ぐうぅぅ…。


(お腹、空いた)


財布は持っている。

行きがけの交通費は入っていた。

中身を確認しなかったのが悪いのだが、交通費ギリギリの小銭が入っていたので紙幣の方を見るタイミングがなかったとでもこの際言っておこう。

それに気づいたのは仕事帰り、現場近くの駅の側で寄ったコンビニ…。

軽く昼食を買おうと財布の中を確認した時だ。


(お金が入ってない…)


当然、交通費すらなく…歩いて帰るにしても、腹ごしらえは必要である。

だが、育ち盛りの彼は空腹過ぎてその気力すら一欠片も残っていなかった。

携帯で河村に車で迎えに来て貰おうと電話をしてみたが、彼も別件で動いているので無理だと言われた。

おサイフ携帯の中身もチャージのし忘れで残金はたったの40円…クレジット機能も今月は出費が多く、限度額ギリギリまで使ってしまっていた。

両方のお金を足しても70円…今時、これでは何も買えやしない。


(誰か知り合い、通りかからないかなぁ…)


7度目のタメ息をついた時、


ポンポン…


誰かに肩を叩かれた。

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