そして一緒に過ごすうちに。

チャラは明るくリーダーシップのある凜に惹かれ始めていた。

勿論それを恋と呼べるかはチャラ自身もよくわかっていなかったが、凜を守りたいという気持ちは確実にあった。



しかし当の凜は、仲の良いロイへ惹かれ始めていた。

凜自身も恋と呼べるかはわからないが、ロイとこのまま一緒にいたいという気持ちは強かった。



好き、という感情が本物なのかわからぬまま、凜たちはあの日を迎えた。





その日、施設長は怒っていた。

最近施設長の周りでは、嫌なことばかり起こっていた。

星座占いで自分の運勢が最下位。

キョウとダイが毎日のように喧嘩する。

施設の運営が悪化。

虐待を疑う連絡があったため向かうと、その連絡が嘘だったことが発覚。

施設長の怒りは、爆発寸前だった。





極めつけは、自分の傍に来た凜の一言だった。





『先生、目の下に隈があるね』




凜は施設長が施設長になって初めて面倒を見た子だ。

そのため、人一倍愛情を持って接していた。

そんな凜に、それを言われたのだ。

他の人に取って見れば「そんなことで?」となるかもしれないが、度重なるイライラを抱えていた施設長の怒りは、爆発した。




施設長は施設の職員にお金を渡し、あることを頼み込んだ。

普段は嫌がったかもしれないが、職員は了承した。

施設長がお金を渡した職員は皆、お金に困っている人だったから。

その弱みに、漬け込んだのだ。