「だからどうか、おまえだけは覚えていておくれ。そしてたまにでいいから、この場所へ会いに来ておくれ」 「ええ、もちろん」 銀花が頷くと、白く輝く優美な狐は、軽やかに後ろ足で地を蹴った。 銀花の隣をすり抜けて、狐は社へ駆けていく。白い光が尾を引くその姿は神々しく、美しい。 社の前で一度立ち止まると、狐は最後に銀花を振り返ると。 「優しい子、一つ教えてあげよう。――次の満月の夜は、晴れだよ」 そう言い残して、白い光に溶けるようにして消えていった。