届屋ぎんかの怪異譚





腰にささった刀の柄を一度撫でて、朔は言う。



「だから、俺もついて行く。おまえが何をやらかすのかも気になるし」



やらかすって何よ、と思ったが、銀花は何も言わなかった。


これ以上ここで留まっていても仕方がない。


二人は猫目の後について、社の鳥居をくぐった。



賽銭箱もないような、本当に小さな何の変哲もない社だ。


本当に妖なんているのかしら、と銀花がそっと手を伸ばしたとき。



「あ、ねえ君!」



社の裏へ回っていた猫目が突然声を上げ、銀花は驚いて手を引いた。



「ど、どうしたの猫目?」



言いながら銀花は社の裏側へ回って、あ、と声を上げた。