言い合いを始めた二人を、糺は苦笑して「まあまあ」となだめる。



「朔は江戸に来たばっかりで勝手がわからねえだろうし、仲良くしてやれよ、銀花ちゃん。

朔も、風伯をいじめんなよ」



糺の言葉に、うんともすんとも言わない朔。


それを見て銀花はため息を吐くと、


「できればこの手は使いたくなかったけど……」


と、ぼやきながら、そばに置いていた風呂敷から小さな黒い巾着袋を取り出した。



「この薬は、あたしが調合したの。

江戸中探しても同じものはない、あたしだけが作り方を知っている薬よ」