「……しかたない、か」


重苦しい空気の中で、ふいに銀花が言った。



「風伯、糺さんは今は?」



銀花に尋ねられて、風伯はすこし驚いたような顔をしながら答える。



「え、えっと、今様が結界に閉じこめて、二藍が見張ってるよ」



「そう、 なら、戻って猫目に店を閉めて糺さんを見ていてほしいと伝えて。三の棚の一番右下の引出しの中に薬があるから、糺さんに飲ませて」



「う、うん」



「それが済んだら、戻ってきてちょうだい。……萩を頼るわ」



その銀花の言葉に、風伯はわずかに目を見張り、すぐに「わかった」と頷くと、風に乗って飛んでいく。



それから銀花は、話が読めないままの朔に向き直る。