「ところで、銀花さまはこんなところで何を?」
「最近江戸で首吊りが多いでしょう? 妖の仕業だって言うし、それについてすこし調べているの」
銀花が答えると、かずらは不安げに眉尻を下げた。
「左様でございましたか。どうかご無理をなさならいでくださいね」
「大丈夫よ。強ーい退治屋さんが一緒だもの」
「あら、猫目さまですか?」
問われて、銀花は首を振る。
「違う退治屋さんよ。朔というのだけれど、最近江戸に越してきたのよ」
言いながら、銀花は空を見上げる。――もう半刻経つだろうか。
「かずらさん、あたしそろそろ行かないと。朔を待たせているの」
「あら、左様でございますか。それでは銀花さま、お気をつけて。また近いうちに萩姫さまを訪ねていらっしゃってくださいね」



